はじめに
「美白」や「ホワイトニング」といった表現は、アジア市場では根強い人気を持つ一方で、社会的・文化的背景や規制強化により注意を要する領域です。本記事では、韓国・中国・日本・インドを中心としたアジア諸国における「美白」表現の規制の変遷と現状、そして今後の対応指針を整理します。
※本記事はあくまで参考資料としてご利用ください。実際の製品表示や広告表現に関しては、必ず該当国の規制当局が発表する最新のガイドラインや法律をご確認ください。
各国における規制の現状と特徴
韓国:規制強化と“ホワイトニング”離れ
韓国では、2000年代以降「美白(미백)」という表現が広告や製品表示で広く使われていましたが、近年は規制が強化されています。
- 2021年、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)は、「美白」の定義や使用範囲を厳格に管理する方針を発表しました。たとえば、従来まで「ホワイトニング」や「透明感アップ」といった表現が比較的自由に使用されていた状況に対し、今後は科学的根拠に基づき、MFDSが承認した有効成分を含む製品に限って「美白機能性化粧品」として効能を表示できるよう制度が見直されました。
- 美白機能性化粧品は、MFDSが効果を認めた成分(例:アルブチン、ナイアシンアミドなど)を使用し、製品ごとに機能性化粧品としての審査または届出が必要です。
参考情報: MFDS公式ページ:機能性化粧品 関連資料一覧
中国:規制の明確化と表現制限
中国では2021年に「化粧品監督管理条例(CSAR)」が施行され、医薬品的な表現を含む宣伝や表示に対する規制が強化されました。
- 「美白」という言葉そのものは禁止されていませんが、医療的な効果を暗示するような表現は禁止されています。
- 国家薬品監督管理局(NMPA)は、広告表現におけるガイドラインを厳格化しました。
- 医療的効能ではなく、化粧品としての「肌のトーンケア」「くすみ対策」といった表現にとどめ、科学的根拠に基づいた説明が求められます。
参考情報: NMPA公式ページ
日本:「医薬部外品」表記と薬機法の制限
日本では、「美白」は医薬部外品の効能表記としてのみ許可されており、一般化粧品での使用は認められていません。
- 医薬部外品として「美白」効能を表示する場合でも、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」など、厚生労働省が定めた定型文での表現が必要です。
- また、承認された美白有効成分(例:ビタミンC誘導体、トラネキサム酸など)を一定量含んでいる必要があります。
参考情報:厚生労働省:化粧品・医薬部外品関連ページ
インド:人種差別批判と“Fairness”用語の廃止
インドでは、「フェアネス(Fairness)」という言葉が肌の色と社会的価値を結びつけるとの批判を受け、強い社会的議論が起こりました。
- 2020年、ユニリーバは自社の代表的な製品「Fair & Lovely」を「Glow & Lovely」に名称変更。
- 広告基準協議会(ASCI)は、肌の色に関連する優劣表現を禁じるガイドラインを設定しています:
- 肌の色が社会的成功、結婚、職業、魅力に影響するという印象を与える表現は禁止。
- Before/After の比較による肌の明るさの強調も制限対象。
- 「フェアになれば人生が変わる」といった誇張的または差別的な暗示は禁止されています。
参考情報: ASCI公式サイト
実務上の留意点と対応指針
各国の法規制には違いがありますが、共通して以下の点に留意する必要があります:
- 医療的・治療的な印象を与える表現は避ける。
- 表示する効能には、各国で認可されている成分の使用と科学的根拠が必要。
- 肌の色に優劣や価値を結びつける表現は避け、文化的・倫理的配慮をもった表現を使用する。
国際的に展開するブランドにおいては、マーケティング表現を各国ごとにローカライズし、現地の法制度や価値観を踏まえた広告設計が求められます。
おわりに
“美白”という言葉は単なる美容用語ではなく、社会的・文化的背景を含む重要な概念です。規制やガイドラインの順守はもちろんのこと、消費者に対して誠実で敬意あるコミュニケーションを行うことが、長期的なブランド信頼の構築につながります。
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